近年、AI・人工知能は急速に発展しており、世の中のさまざまな分野に普及しています。
そのため、今後AI・人工知能によって優れた技術やサービスを生み出し続けていくことが可能です。
ただ、そんなAI・人工知能には、フレーム問題という問題を抱えているので、今後解決させていく必要があります。
今回は、フーム問題についてやAI・人工知能が抱える問題点、その解決策について解説します。
フレーム問題とは、限られた処理能力しか持っていないAI・人工知能では現実で起きるさまざまな事象に対処しきれないという問題です。
AIを活用することで、さまざまな業界・分野で飛躍的に技術を発展させることができますが、そんなAI・人工知能の能力には限界があります。
例えば、AIを活用した自動運転技術では「目的地にまで辿り着く」という能力は持っていても、その道中で起きる交通渋滞や交通事故などには対処することが困難です。
そのため、AI・人工知能を活用していくためには、このフレーム問題を解決させていく必要があります。
フレーム問題の「フレーム」とは、日本語で「枠組み」を意味する言葉で、「指定した条件下でAIやコンピュータが思考するための枠組み」のことです。
このフレームがあることによって、AIは世の中にあるほぼ無限の事象全てに対処することなく、限られた範囲内の事象のみを高速で処理することができます。
ただ、上記でも解説した通り、このフレームによってフレーム外の事象には十分に対応することができなくなる「フレーム問題」が発生してしまいます。
そのため、現状としてフレームには、大きなメリットとデメリットがそれぞれ存在している状態です。
フレーム問題は、現在AI・人工知能が抱えている問題のことですが、具体的にどのような内容なのか理解していない方も多いです。
ここでは、フレーム問題の例題について解説します。
フレーム問題の1つ目の具体例は、爆弾とロボットです。
爆弾とロボットとは、1984年にダニエル・デネットによって提唱されたフレーム問題の例題の1つです。
要約すると以下の内容になります。
洞窟の中には、ロボットを動かすためのバッテリーがあり、そのバッテリーの上には時限爆弾が設置されています。
そこでロボットに「バッテリーを取ってくる」というプログラムを行い、洞窟の中のバッテリーを取りに行かせました。
しかし、時限爆弾についてはプログラムされていなかったので、時限爆弾ごと取ってきてしまい爆弾が爆破してしまいました。
その後、「バッテリーを取ることで起きる事象も考慮してバッテリーを取ってくる」というプログラムを行ったロボット2号を洞窟に向かわせました。
ロボット2号は、バッテリーの前に到着したものの「考慮しなければいけない問題」が多すぎて無限に計算して停止してしまいました。
その結果、時限爆弾が爆発してしまったのです。
電話帳とは、ジョン・マッカーシーとパトリック・ヘイズの2人によって提唱されたフレーム問題の例題です。
要約すると以下の内容になります。
Aさんが電話帳でBさんの電話番号を調べて電話をかけようとしています。
人間であれば、この一連の流れを簡単に済ますことができますが、AIではスムーズに行うことが困難です。
AIは、電話帳でBさんの電話番号を調べて電話をかける場合、「Bさんが電話を持っている時、Aさんが電話帳でBさんの電話番号以外を調べた後でも、Bさんは電話を持っている」という事実まで計算した上で行動しなければいけません。
そのため、単純な処理であってもAIでは、膨大な計算が必要になってしまい爆弾とロボットで解説した「ロボット2号」のように停止してしまいます。
フレーム問題は、「爆弾とロボット」「電話帳」のように、例題が提唱されているので、具体的にどのようなものなのか理解しやすいです。
では、実際に起きうる具体例には、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、フレーム問題の具体例について解説します。
自動運転での判断は、フレーム問題の具体例の1つです。
運転では、「目的地に辿り着く」以外にも、信号や交通渋滞、交通事故、子供や高齢者の飛び出しなどさまざまな状況を判断していく必要があります。
さらに、その判断には「車を減速するか」「道のりを変更するか」「停止するか」など幅広く判断しなければいけません。
そのため、自動運転での判断はフレーム問題の1つとして扱われる具体例の1つです。
遠隔医療では、AIは患者ごとにさまざまな判断をしなければいけません。
「患者を診察する」以外にも、症状やケガや腫瘍の位置、形状、大きさなどの可能性を考慮し、さらに病名や検査方法なども幅広い選択肢の中から判断しなければいけません。
最終的な診察は医師によって行われますが、膨大な可能性から判断しなければいけないAIがそれまでの役目を果たせるかどうかは疑問です。
そのため、この技術もフレーム問題も1つとして扱われています。
人間が自然と行っている日常生活での判断、AIにとっては膨大な計算が必要です。
例えば、「寒いから上着を着る」「家具をどかして掃除する」「雨だから傘をさす」などの自然な判断もAIでは認識することが難しく膨大な計算が求められます。
そのため、この日常生活の何気ない動作を模倣して再現することができれば、フレーム問題の解決へ1歩前進することでしょう。
フレーム問題は今後AI・人工知能を発展させて活用していくためには、解決させていく必要があります。
実際に、フレーム問題の解決案は、いくつか誕生しており今後解決に向かっていくことが期待されています。
ここでは、フレーム問題の解決案について解説します。
フレーム問題は、強化学習とアンサンブル学習という2つの学習方法を組み合わせることで、解決させられる可能性があります。
機械学習とは、データ分析方法の1つでAIが提供されたデータから自動で学習を進めることです。
アンサンブル学習とは、複数の学習モデルを組み合わせることで、精度の高い結果を導き出すことです。
この2つの学習方法を組み合わせることで、人間の持つ「過去の経験から選択肢を選択する」などの習性を再現し、より人間らしい選択方法に近づけられるようにします。
AIに情報の優先順位と重要度を決めることで、フレーム問題の解決に繋がる可能性があります。
AIは、「電話帳で調べる」「日常生活での判断」などを行う場合でも、さまざまな事象を無限に処理してしまうので、処理が停止してしまいます。
しかし、結果を導き出すためには不要な可能性や事象を省くための条件をつけることで、無限の計算に処理することなく限られた範囲内での処理が可能です。
そのため、情報の優先順位・重要度を決めておくこともフレーム問題の解決策になります。
AI・人工知能が世界中のさまざまなサービスや技術に活用されていますが、今後さらにAI・人工知能が普及することで起きうる問題点も多くあります。
ここでは、AI・人工知能が抱える問題点について解説します。
AIは、学習に必要なデータが膨大です。
AIを成長・発展させるための機械学習では、最初に学習材料として膨大なデータを与える必要があり、データが不足していると十分な結果を導き出すことができなくなります。
特に、画像認識やディープラーニングでは、膨大なデータ量が求められるので、データ収集やデータ処理にかかるコストも高いです。
AIのブラックボックス化とは、「AIの導き出した答えが分かっても、その結果を導き出すまでのプロセスがわからない状況」のことです。
機械学習では、AIは与えられたデータの法則やルール、パターンなどを記憶し、その記憶したデータを元に結果を出し、人間に提示します。
そのため、求めている結果が分かっても、そのプロセスがわからないので、原因究明や分析が困難です。
特に、医療や自動運転などの分野では重大な問題点になります。
AIが今後さらに普及していき、自動運転や自律飛行、情報管理などを行っていけば、責任問題が発生します。
例えば、自動運転や自律飛行で人命に関わる事故を起こした場合、その責任の所在が曖昧になるリスクが高いです。
事故原因を分析しようとした場合も、ブラックボックス化によって不明のままになってしまいます。
そのため、今後AI開発において解決していかなければいけない大きな問題点の1つです。
AIには、メンテナンスや運用、開発などに多大なコストがかかります。
AIを開発しAIサービス・システムを導入するためには、優れたAI人材を採用する必要があり、その後のメンテナンスや運用、機械学習による成長にも多くの時間や費用がかかります。
さらに、高度なデータ分析・処理を行う場合やシステム障害の対応などにも多大なコストがかかるので、気軽に活用することが難しいです。
そのため、AI活用にかかるコスト問題もAIを普及させるためには解決させなければいけません。
AIには、主に「強い(AI汎用型AI)」と「弱いAI(特化型AI)」の2種類があり、ほとんどのAIは特化型AIに分類されています。
主に、企業や行政の業務効率化や自動化などに活用されているAIは、「弱いAI(特化型AI)」であり、この「弱いAI(特化型AI)」では、フレーム問題の解決は厳しいです。
しかし最近では、Chat GTPなどのビッグデータを活用して人間らしい対応ができる「強い(AI汎用型AI)」が注目されており、1部のフレーム問題を解決させられています。
そのため、今後もChat GTPのような「強い(AI汎用型AI)」の誕生によってフレーム問題の解決に繋がっていく確率が高いです。
AI・人工知能は、多くの分野で活躍していますが、現時点ではフレーム問題を抱えている状況です。
今後、AIをさらに発展させていくためには、このフレーム問題の解決はとても重要な課題になります。
これからAI学習を行う方やフレーム問題についての理解を深めていきたい方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみてください。
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試験を通じて、文章生成をすることができるChatGPTなど、AIを活用したコンテンツ生成の具体的な方法や事例に加え、企業のコンプライアンスに関わる個人情報保護、著作権侵害、商用利用可否といった注意点などを学ぶことができます。
生成AIの活用普及を目的とした、国内最大級の生成AI団体である、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が発行する認定試験です。