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音楽生成AIとは?Stable Audioなどおすすめサービス・使い方・活用事例について解説

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会話型AIや画像生成AIなどAIが活用される場面が増えていますが、最近では楽曲をAIが自動で作成してくれる音楽生成AIも注目を集めている分野の1つです。

実際に音楽生成AIはすでに多数リリースされており、音楽業界でも想像以上に普及しています。本記事では、音楽生成AIとはどのようなサービスなのかご紹介します。

また、Stable Audioのようなおすすめサービス・使い方・活用事例についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

音楽生成AIとは?

音楽生成AIは、人工知能(AI)を活用し、自動的に音楽を作成するシステムです。簡単にいえば、ユーザーが音楽ジャンル・スタイルを選択し、テンポ・キーなどを指定すると自動的に楽曲を生成してくれます。

AIが楽譜や音声データを学習し、それらの音楽パターンを認識することにより、新しい音楽を生成する仕組みです。また、既存の楽曲や各府のデータを分析し、それを元に新しい楽曲を生成する手法もあります。

どちらか一方の場合もありますし、両方を組み合わせたものもあるでしょう。また、人間が基本的な部分を構築した音楽にAIがコードを選択したり、アレンジをしたりするソフトもあります。

このように、自動作曲だけでなく作曲を補助する目的でも使用できるなど用途が幅広いことも特徴です。

生成AIについて詳しい解説はこちらから

https://gen-ai-media.guga.or.jp/columns/generative-ai-mechanism/

音楽生成AIのおすすめサービス

音楽生成AIは現在さまざまなサービスが提供されています。具体的には、次のようなサービスがあります。

  • Stable Audio
  • Soundraw
  • Amper Music
  • AIVA
  • Amadeus Code

それぞれのサービスの特徴やおすすめポイントをご紹介します。

Stable Audio

Stable Audioは、オープンソースのAI企業であるStability AIが開発した音楽生成AIです。2023年9月にリリースされました。

テキストプロンプトと時間の長さを入力すれば、曲を作成してくれるだけでなく、効果音なども作成できます。

無料版は45秒のトラックを作成できるほか、有料版では最長90秒まで作成できるAIモデルです。無料版は非商用利用に限られているため、商業プロジェクトで音楽を生成したい人は有料版への加入が必要になります。

また、無料版では月間の作成回数が20回までと限られていますが、有料版では500回までとなっています。プロンプトの入力は2023年10月現在、日本語非対応となっているため、英語で入力する必要があるでしょう。

Soundraw

Soundrawは、2020年に設立された日本のスタートアップ企業であるSOUNDRAW株式会社が提供する音楽生成AIです。2020年にリリースされたサービスです。

AIが生み出す無数のフレーズを組み合わせ、楽曲の長さ・構成・テンポ・楽器などをカスタマイズし、オリジナルの楽曲が簡単に制作できます。

また、AIが作成した曲にアーティストがボーカルを加えることにより、共同で楽曲が制作できるサービスも提供しています。

曲の作成自体は無料ですが、ダウンロードして自分の楽曲として使用するためには、有料アカウントが必要です。有料プランの場合、月額料金1,650円(税込)で利用できます。

動画に合わせた音楽を手軽に作りたい人におすすめです。

Amper Music

Amper Musicは、AIによる自動楽曲制作サービスです。2017年にアメリカのシンガーソングライターでYou Tuberの女性がAmper Musicで作成した楽曲を発表し、注目を集めました。

無料でアカウントを作成し、作成したい曲のジャンル・曲の雰囲気・長さを指定すれば、AIがこれまでの学習データを参考に作曲してくれます。そのため、コードやスケールなど音楽の知識がなくても、誰でも簡単に作曲ができます。

操作の分かりやすさや、APIを提供しているなど利便性の高さが特徴です。有料のPro版も用意されており、編曲できる機能が追加されていたり、使用する楽器の指定もできたりするなどより本格的な作曲をしたい人に向いています。

音源は著作権フリーですが、商用利用はできません。

AIVA

AIVAは、ルクセンブルグのスタートアップ企業であるAIVA Technologiesが開発した音楽生成AIです。

機械的な演奏ではなく、生演奏に匹敵する高品質な楽曲が制作でき、BGMの制作などにおすすめです。256種類以上のスタイルで音楽を構成できます。

料金プランは3種類用意されており、フリープラン・スタンダードプラン・プロプランです。有料プランではより専門的な機能が利用できるようになっています。

また、商用利用も可能ですが、プランによってライセンス条件が異なります。フリープランは商用利用ができず、スタンダードプランと、プロプランは商用利用が可能です。

生成されたMIDIファイルはDAWで編集でき、自由度が高いことも特徴です。生演奏のような高品質な演奏が伴ったBGM制作や作曲をしたい人におすすめできます。

Amadeus Code

Amadeus Codeは日本のベンチャー企業が開発・運営している、AIを使った自動楽曲制作サービスです。当初はiPhone用アプリとして登場しましたが、現在ではさらに進化し、Web版で利用できるようになっています。

Amadeus Codeは、歴史上の名曲から学習したアルゴリズムによってメロディーを生成します。日本語の自然言語処理技術を音楽に応用しており、日本語環境で利用できることが大きなメリットです。

また、月額500円(税込)で、1か月70回分ダウンロードができます。自動作曲だけでなく音楽制作用の素材ファイルも提供しており、曲作りのモチーフを得たり、一部を使用したりすることも可能です。

音楽生成AIの使い方

次に、音楽生成AIの使い方を見てみましょう。それぞれのソフトやサービスによって細かな使い方は異なりますが、基本的には次のような流れで利用できます。

  • サービスにアクセス
  • テキストで作りたい音楽の説明を入力
  • 音楽が生成される

それぞれの手順を詳しく解説します。

サービスにアクセス

最初に、利用したい音楽生成AIのサービスにアクセスします。多くの音楽生成AIサービスでは無料アカウントを作成すればすぐに利用可能です。

それぞれのサイトの説明に従って、アカウントを作成しましょう。商用利用・より高度な機能の使用・回数無制限などは有料版でのみ利用できるケースが多いです。

無料で利用してみて、気に入った場合は有料版の利用を検討してみると良いでしょう。

テキストで作りたい音楽の説明を入力

次に、テキストで作りたい音楽の説明を入力します。音楽生成の画面で、テキストボックスに作りたい音楽の説明を入力しましょう。

サービスによっては、作成したい音楽のジャンル・曲の雰囲気・長さなどを先に選択する必要がある場合もあります。

テキストボックスでは、たとえば「明るくてポップな曲・女性ボーカルが歌っている感じ」「落ち着いたピアノの曲・雨の日に聴きたい感じ」など自由に入力可能です。

音楽が生成される

次に、生成のボタンを押すと、音楽生成AIがテキストや入力した情報を参考にしながら作曲を行います。しばらく待つと、生成された音楽がプレイヤーで再生されます。もし、作成された曲を気に入った場合は、ダウンロードボタンで保存できるでしょう。

サービスによっては、作成した曲のテンポ・楽器・セクションの入れ替えなどの変更が可能なものもあります。また、「再生成」のボタンがあれば、楽曲を新たに作り直すことも可能です。

音楽生成AIの活用事例

さまざまな可能性を秘めた音楽生成AIですが、実はすでに音楽業界で想像以上に普及しています。作曲家・プロデューサー・アーティストなどの音楽制作に役立つツールとして使用されています。

最近の音楽生成AIの活用事例として注目を集めたものには、ヤマハの歌声合成技術「VOCALOID:AI」が挙げられるでしょう。この技術はAIを搭載しており、目標となる歌手の歌声を収集し、音色や歌い方などの特徴を学習します。

実際にVOCALOID:AIは、2019年のNHK紅白歌合戦で新曲を披露した、美空ひばりの歌声を再現するために使用されました。

また、同じく2019年に開催された「宣伝会議 インターネット・マーケティングフォーラム2019」では、モーツァルトの新曲を生み出す取り組みの成果が発表され注目されています。

こちらの取り組みは、AIによって作り出されたモーツァルトの新曲に、最先端の映像やオーディオなどを融合させたものです。このような新しい楽曲の作曲のみならず、作曲家やアーティストの補助ツールとしても音楽生成AIは用いられています。

音楽生成AIのメリット

人工知能を用いて作曲ができる音楽生成AIにはさまざまなメリットがあります。具体的には、次のようなメリットが挙げられます。

  • 誰でも楽に作曲ができる
  • コストを削減できる
  • 作成時間を短縮できる
  • 希望に応じた音楽を作りやすい

それぞれのメリットについて詳しく解説します。

誰でも楽に作曲ができる

1つ目のメリットは、誰でも楽に作曲できることです。これまで、作曲を行おうと思った場合、音楽についての知識や経験が必要とされました。

しかし、音楽生成AIを利用すれば知識や経験がなくても、自分が作りたい曲のイメージを入力したりテンプレートやパラメータを選択したりするだけで簡単に作曲が可能です。

音楽の知識がない人でも作曲が可能なだけでなく、作曲家やアーティストの楽曲制作の補助としても効果的に利用できます。

コストを削減できる

2つ目のメリットは、コストを削減できることです。人間の作曲家やミュージシャンに依頼して曲を作ってもらう場合、数千円~数万円の費用がかかります。

それに対して、音楽生成AIの利用料金は無料、もしくは1曲当たり数百円~数千円程度です。動画に合わせてBGMを制作したいときでも低価格で利用できるのは大きなメリットといえるでしょう。

作成時間を短縮できる

3つ目のメリットは、作成時間を短縮できることです。人間の作曲家やミュージシャンに作曲を依頼した場合、数日から数か月かかる場合が多いでしょう。

音楽生成AIであれば、数分から数十分程度で曲を完成させられます。また、修正や変更も簡単に行えます。

音楽生成AIの使用によって楽曲制作にかかる時間を大幅に短縮でき、生産性が向上するでしょう。

希望に応じた音楽を作りやすい

4つ目のメリットは、自分の希望に応じた音楽を作りやすいことです。人間の作曲家やミュージシャンに作曲を依頼する場合、必ずしも自分のイメージした曲ができるとは限りません。

しかし、音楽生成AIを利用すれば自分のイメージや表現を具現化してくれ、イメージに合った曲を作ってくれます。もし、イメージ通りでなかったときも簡単に作り直せます。

音楽生成AIのデメリット

メリットが多い音楽生成AIですが、デメリットもいくつかあります。たとえば、次のような点が挙げられるでしょう。

  • オリジナリティがなくなる
  • 人間の感情的な部分が欠如した音楽になる可能性がある

デメリットについても詳しく解説します。

オリジナリティがなくなる

1つ目のデメリットは、曲のオリジナリティがなくなることです。これまで見てきたように、音楽生成AIは既存の楽曲のデータを学習し、それを元に新しい曲を作成します。

そのため、AIが作成する曲は、学習データに含まれている音楽のスタイルやパターンを反映したものです。AIが完全に新しい音楽を作り出すことは難しいため、表現の幅や深さは限られたものとなるでしょう。

ただし、音楽生成AIは現在のところ発展途上にあるため、今後は人間と遜色ない作曲ができる可能性もあります。

人間の感情的な部分が欠如した音楽になる可能性がある

2つ目のデメリットは、人間の感情的な部分が欠如した音楽になる可能性があることです。人間の作曲家やミュージシャンは自身の感情や感性に基づいて作曲を行い、それが曲を聴く人の感情に訴えます。

しかし、音楽生成AIは人間の感情や感性を完全には理解できないため、曲を聴いても人間の感情に響かない可能性があります。ただし現在でも人間の脳波を読み取り、より感情をダイレクトに作曲で表現する取り組みもあり、今後は新たな可能性が広がると考えられるでしょう。

音楽生成AIの今後の可能性は?

音楽生成AIは、今後、音楽業界に大きな影響を与える可能性があります。たとえば、音楽生成AIが普及することによって、作詞家や作曲家の需要が減る可能性があるでしょう。

音楽生成AIは大量のデータを学習し、新たな曲を自動生成するため、ある分野やプロジェクトでは人間の作曲家が必要ではなくなる可能性があります。

一方で、音楽生成AIが新たな需要を生み出す可能性も大きいといえるでしょう。音楽生成AIは短時間でさまざまなスタイルの楽曲を生み出しますが、オリジナリティや感情面が欠落していることがあります。

そのため、音楽生成AIが提供する素材やアイデアを元に、ミュージシャンが人間らしい感情を表現することが求められるでしょう。また、音楽生成AIは従来のパターンやアプローチにとらわれない新しい音楽ジャンルやスタイルを生み出す可能性もあります。

音楽生成AIを使用するうえでの注意点

誰でも作曲ができて便利な音楽生成AIですが、過去の楽曲のデータを利用して新たな曲を作成していることや、著作権の問題が絡んでくるため使用するうえではいくつか注意点もあります。具体的には、次の2点に特に注意が必要です。

  • 商用利用したい場合
  • 著作権

それぞれの注意点についてご紹介します。

商用利用したい場合の注意点

1つ目は、音楽生成AIの作成した楽曲を商用利用したい場合の注意点です。まず、音楽生成AIのライセンスや利用規約を確認しましょう。

音楽生成AIによっては商用利用が禁止されているケースや、特定の条件を満たさなければならない場合があるからです。こうした場合は音楽生成AIの提供者に連絡したり、条件を満たしたりして許可を得る必要があります。

また、音楽生成AIで作成した音楽に対する権利や責任を明確にする必要もあるでしょう。音楽生成AIで作成した音楽は、著作権法の保護を受ける可能性があります。

その場合、音楽生成AIの提供者・利用者・第三者の間で音楽に対する権利や責任を明確にする必要があります。

著作権についての注意点

2つ目は著作権についての注意点です。音楽生成AIで作成した音楽は著作権法の保護を受けられる可能性がありますが、現在のところ、その範囲や内容は明確に定められていません

たとえば、日本において著作物として認められるためには、「人間の創造的活動によって生み出されたもの」であることが条件です。しかし、音楽生成AIは人間ではありませんし、創造的活動かどうかも疑問視される場合があるでしょう。

そのため、音楽生成AIで作成した楽曲が著作物として認められるかは個々の事例によって判断されます。また、音楽生成AIで作成したものが著作物として認められたとしても、著作者は誰なのかという問題もあるでしょう。

まとめ

本記事では音楽生成AIについて詳しく解説してきました。音楽生成AIは、人工知能(AI)を用いてオリジナルの音楽を作成する技術です。

Stable Audioなどのサービスが提供されており、自分の好みや目的に応じて、誰でも簡単に音楽を生成することができます。

音楽生成AIは作曲家やアーティストのみならず、動画制作や広告などの分野でも活用されている技術です。今後の音楽の可能性を広げてくれる革新的なツールといえるでしょう。

さらに、今注目を集める生成AIリスキリングの第一歩を。生成AIパスポートとは?

生成AIパスポートは、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が提供する、AI初心者のために誕生した、生成AIリスクを予防する資格試験です。AIを活用したコンテンツ生成の具体的な方法や事例に加え、企業のコンプライアンスに関わる個人情報保護、著作権侵害、商用利用可否といった注意点などを学ぶことができます。

⽣成AIの台頭により、AIはエンジニアやデータサイエンティストといった技術職の方々だけではなく誰もがAIを使えるようになりました。今、私たちがインターネットを当たり前に活用していることと同様に、誰もが生成AIを当たり前に活用する未来が訪れるでしょう。

そのような社会では、採用や取引の場面で、生成AIを安全に活用できる企業・人材であることが選ばれる前提条件になり「生成AIレベルの証明」が求められることが予測できます。生成AIパスポート試験に合格すると、合格証書が発行されるため、自身が生成AIを安全に活用するためのリテラシーを有する人材であることを、客観的な評価として可視化することが可能です。

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