RNN(リカレントニューラルネットワーク)とは?基本概念から仕組み、LSTMとの違いまで徹底解説
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AIを活用した技術は多くの業界・分野で注目を集めており、その中でも言語処理や音声認識、画像分析などができるRNN(リカレントニューラルネットワーク)への期待が高まっています。
RNNの基本概念や仕組みを理解して活用することで、さまざまなサービスやシステムの開発が進みます。
今回は、RNNの仕組みや特徴、LSTMとの違いについて徹底解説します。
RNN(リカレントニューラルネットワーク)とは?
RNNとは、「Recurrent Neural Networks(リカレントニューラルネットワーク)」という言葉の略称で、ニューラルネットワークの1つです。
また、回帰型ニューラルネットワークと呼ばれることもあります。
主に、ディープラーニングや機械学習で使われることで、自然言語処理や時系列予測などで高いパフォーマンスを発揮します。
そのため、RNNは画像分析・動画解析・音声認識などの自然言語処理が必要な作業や株価予測などの時系列データを扱うことが可能です。
RNNの仕組み
RNNは、「入力層」「隠れ層」「出力層」の3層で構成されているニューラルネットワークです。
入力層で入力された情報が隠れ層で演算され、その結果が出力層に出力していきその結果を再度隠れ層に入力し再演算を行います。
隠れ層が時系列予測を行うための大きな役割を持っており、隠れ層があることによって過去の情報を保持した状態で新しい情報を適切に処理することが可能です。
RNNは3層で構成されていますが、以上のように隠れ層が何度も何度も使用されることによって複数層のあるニューラルネットワークに見えます。
BPTT
BPTTとは、「Backpropagation Through Time」という言葉の略称で、RNNの学習で使用するアルゴリズムの1つです。
日本語では「通時的誤差逆伝播」という意味であり、具体的には時系列データ全てに誤差を逆伝播させるという意味になります。
このBPTTを使ったRNNの学習は多く用いられています。
RNNの特徴
自然言語処理や時系列データの解析に活用されるRNNには、主に以下のような特徴があります。
さまざまな分野に応用できる
RNNは、さまざまな分野で応用することができる高いパフォーマンスを発揮します。
主に、自然言語処理能力を用いた音声認識や画像分析、機械翻訳や時系列予測能力を用いた株価予測や動画解析が可能です。
さらに、RNNは他のニューラルネットワークと組み合わせて活用することで、さらに高いパフォーマンスを発揮させられます。
そのため、RNNは今後のさまざまな分野で活用され、RNNを活用した新サービスやシステムの開発も活発になっていくことが期待されています。
時系列データの処理能力がある
RNNは、時系列データの処理能力があることも特徴の1つです。
RNNは、「入力層」「隠れ層」「出力層」の3層で構成されているニューラルネットワークであり、「隠れ層」では循環構造を持つことで時系列データを効率よく処理できます。
隠れ層は、過去の情報を保持した上で新しい情報を適切に処理することができるので、時系列データの処理にとても適している構造です。
RNNが、株価予測や動画解析などで活用できるのも、隠れ層の役割になります。
長期依存関係の学習ができる
RNNは、他のニューラルネットワークと組み合わせて活用することで、さらに高いパフォーマンスを発揮できることが特徴的です。
そしてLSTMやGRUなどのRNNを改良して作られたニューラルネットワークと組み合わせて活用することで、長期依存関係の学習が行えます。
RNNのみでは、複雑なデータや長い文章などを学習する際に過去の情報を忘れてしまいます。
しかし、LSTMやGRUは長期依存関係の学習を効率的に行うことができるので、RNNと組み合わせて活用することが優れています。
パラメータを共有できる
RNNは、パラメータを共有して、必要最低限のパラメータのみで時系列データを処理できます。
同じパラメータを共有できることで、パラメータが増えすぎてしまうことを防ぐことが可能です。
さらに、パラメータを共有することで異なる時刻での学習を効率的に進められるようになるので、時系列データの処理がスムーズに行えます。
RNNの欠点
RNNには、さまざまな特徴があり活用するメリットも多いですが、いくつか欠点もあります。
ここでは、RNNの欠点について主に3つ解説します。
計算コストがかかる
RNNは、計算コストが多くかかるという欠点があります。
RNNの特徴で「パラメータが共有できるから計算コストを抑えられる」と解説しましたが、時系列データを扱う以上どうしても計算コストが増えてしまいます。
RNNが扱う時系列データの処理では、時系列ごとに順を追って計算が行われるので、並列化が難しい状態です。
そのため、RNNで大規模な計算や複雑なデータの学習をすると時間がかかることがあります。
勾配消失問題
RNNは、長期的依存関係を学習する際に、勾配消失問題が発生する可能性があります。
勾配消失問題とは、主に以下の通りです。
機械学習において、勾配ベースの学習手法と誤差逆伝播法を利用してニューラルネットワークを学習する際に、誤差逆伝播に必要な勾配が非常に小さくなり、学習が制御できなくなる問題である
引用:Wikipedia
つまり、LSTMやGRUのようにシーケンスデータの長期的依存関係の学習を進めることが困難な問題です。
RNNのみでは、この問題を抱えているので、他のニューラルネットワークと組み合わせて活用する必要があります。
解釈性が低い
RNNは、ディープラーニングや機械学習などの分野で幅広く活用されている技術の1つであり、今後も多くの分野で活躍することでしょう。
ただ、RNNは時系列データの処理に複雑な構造を持っていることで、学習結果の解釈性が低くなる場合が多々あります。
RNNによって出力されたデータがどのような仕組みによって生成されているのか理解しにくいことです。
そのため、RNNはこの欠点を解決させるために改良や新たなニューラルネットワークの開発が進んでいます。
RNNと他のニューラルネットワークとの違い
ニューラルネットワークはRNN以外にも、さまざまな特徴や機能を持ったものが存在しています。
ここでは、RNNと他の主要なニューラルネットワークとの違いについて解説します。
RNNとLSTMとの違い
LSTMとは、「Long Short Term Memory(長・短期記憶)」という言葉の略称で、ニューラルネットワークの1つです。
LSTMは、主にシーケンスデータの長期依存関係を学習することができるモデルなので、自然言語処理や時系列予測に用いられることが多くあります。
RNNと似ていますが、LSTMはRNNのもつ長期的依存性問題を解決させるために改良して開発されたものです。
LSTMはRNNと違い効率的にシーケンスデータの長期的依存関係を学習することができます。
さらに、RNNにはLSTMにある内部ゲート構造がないので、LSTMのように情報の取捨選択が行えません。
そのため、RNNとLSTMは、構造や能力などが大きく違います。
RNNとCNNとの違い
CNNとは、「Convolutional Neural Networks」という言葉の略称で、RNNやLSTMと同様にニューラルネットワークの1つです。
主に、画像認識や画像解説などを得意としているニューラルネットワークであり、「畳み込み層」「プーリング層」の2層で構成されています。
CNNは画像の分析など静的なデータを扱いますが、RNNは時系列データなどの動的なデータを扱うという違いがあります。
また、内部構造もRNNとCNNでは大きく違います。
RNNの重要性について
RNNは、自然言語処理や時系列データの処理を行う分野において、とても重要な役割を果たしています。
実際に、動画解析や画像分析、期間翻訳や株価予想などを行うサービスやシステムにも活用されており、今後もさまざまな分野で活用されることが期待されています。
さらに、LSTMやGRUなどのニューラルネットワークの元となっているニューラルネットワークなので、技術の発展には欠かせません。
今後、現存するニューラルネットワークでは解決させられない問題がある場合、RNNを用いて改良や開発が行われていくことでしょう。
RNNの応用事例
さまざまな分野で活用されているRNNには、具体的にどのような応用方法があるのか気になる方も多いです。
ここでは、RNNの応用事例を主に4つ解説します。
機械翻訳
RNNは、Google翻訳などの機械翻訳システムやアプリケーションに活用されていることが多いです。
RNNを用いたニューラル機械翻訳という仕組みがあり、その仕組みを使うことで従来の翻訳機械よりも自然で流暢な文章に言語を変換できるようになっています。
そのため、RNNによる機械翻訳は多くの方がすでに利用している状態です。
画像分析
RNNは、画像分析にも活用されています。
ただ、RNNだけでなくCNNを組み合わせることで実現される機能になります。
CNNは、画像などの静的なデータを処理することができ、RNNはCNNで処理された画像の情報からその画像が何を表しているのか説明することが可能です。
そのため、この技術を使って画像から自動で説明文を付け加えることができます。
音声認識
RNNは、音声認識ができることから、現在さまざまなスマートスピーカーに使用されています。
音声データを時系列に処理し認識することで、人が発した言葉を理解し対応することができます。
さらに、RNNは単語だけでなく前後も文章もしっかりと理解した上で対応できるので、高い精度での音声認識が可能です。
まとめ
RNNは、画像認識や動画解析、機械翻訳など多くの分野で幅広く活用されており、さまざまなサービスやシステムに用いられています。
さらに、RNNが元となって改良されたLSTMやGRUと組み合わせて活用することで、RNNの欠点を補いさらに幅広く活用することが可能です。
これからAI学習を始める方やRNNやニューラルネットワークに関心のある方は、ぜひ今回の記事を参考にしてみることをおすすめします。
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