もっと自由で多様な「働き⽅」を! 生成AIが拓く女性のキャリアの可能性
INTERVIEW 019
NORIKO HARADA

生成AIの台頭は、働き方やキャリアをどのように変えてくれるのか。AIを活用したコミュニケーションのDXを中心とした事業を展開するAI CROSS株式会社 代表取締役CEOの原田 典子氏にお話を伺いました。これまでのキャリアにおいてに仕事と子育ての葛藤を経験した原田氏は、生成AIを「人生の大切な道しるべ」だと表現し、「バイアスにとらわれることなく、個性を活かしたキャリアを描いてほしい」と語ります。女性のキャリアを軸とした目線で、生成AIの魅力や拓かれる可能性を紐解き、キャリアの悩みを抱える女性へのヒントをお届けします。

SECTION 001

仕事と子育ての葛藤を経験。海外と比べた日本の働き方の課題

ー原田さんはこれまでのキャリアの中で、出産・育児を経験されています。これまでの働き方を振り返っていただけますか?

新卒でドイツ系の会社の日本法人に入社した後、渡米してIT系のスタートアップでアライアンスマーケティングやビジネスデベロップメントの職に就きました。米国で結婚し、仕事をしながら出産を経験しました。米国での仕事は楽しく、柔軟で多様な働き方が許されていました。出産を控えた病院のベッドの上でチャットツールを使いコミュニケーションをしていたほどです。成果を出せば、プロセスや働き方についてうるさく言われることもありませんでした。職場に小さな子どもを連れてきて働いている同僚がいたり、家族との約束を大義名分にして仕事を抜けたり。多様性が許されるおおらかさがあり、合理的な働き方が実現できていましたね。

その後、帰国して日本の会社で働き始めるとカルチャーギャップの洗礼を受けました。極めて昭和的な会社で、朝8時の朝礼では全員で企業理念を唱和する。待機児童の問題が顕在化する中、子どもを預けて毎日出社することが必須。接待で帰宅が遅くなり、仕事の拘束時間は長い分、子どもと過ごす時間は短い。朝、保育園に子どもを預けると、もみじみたいな小さな手を広げて追いすがってくるんです。泣きながら「ママ〜」って。後ろ髪を引かれる思いで出社するわけですが、どこか仕事に集中できなくて。そういった仕事と子育ての葛藤を抱えていましたね。

ー同じような悩みを抱える女性は少なくないですよね。この頃に実感した課題がその後の起業にもつながってくるのでしょうか?

そうですね。日本の働き方の生産性の低さや非効率なコミュニケーションに課題を感じた経験もあり、AI CROSSでは「Smart Work , Smart Life」というミッションを掲げています。ビジネスチャットやショートメッセージを活用したコミュニケーションのDXを中心とした事業を展開し、AIを取り入れた効率的なコミュニケーションのインフラを提供しています。

社員の働き方についても多様性の実現を大切にしています。メンバーの国籍やバックグラウンド、年齢も様々です。海外からのリモート勤務、在宅勤務や出社など、一人ひとりに合わせた最もパフォーマンスのよい働き方を追求しています。私自身の子育ての経験も活かし、社員が仕事にフルコミットできない時期にも柔軟に対応しています。男女を問わず、結婚、出産、子育てといったライフイベントやメンタル疾患、介護など、一人ひとりの社員がステージに応じてパフォーマンスを発揮できる”場”を提供していきたいと考えています。

SECTION 002

一番の魅力は圧倒的な時間の効率化。生成AIが女性のキャリアを拓く

ー働き方という側面でみた、生成AIの魅力について教えてください。

最も大きなインパクトを得られるのが、時間の使い方ではないでしょうか。今まで、AIを利用できるのはエンジニアやデータサイエンティストなどのテクノロジーの専門家でした。しかし、2022年11月にChatGPTが公開されたことで誰もがAIを使えるようになりました。これにより、圧倒的な時間の効率化が進むと思っています。

例えば、チームメンバーに相談しながら進めていた仕事も、生成AIに問いかけることで解決するかもしれません。これまで相手の時間的な制約を受けていたコミュニケーションが、手元の生成AIによってリアルタイムで実現するのです。また、出社をせずとも自宅で相談できるという意味でも、時間の効率化を図ることができます。仕事と育児を両立する働き方においては、仕事上の時間的拘束が減少することが何よりもの福音であり、生成AIに感じている一番の魅力です。

ーそうすると、生成AIの普及は、女性のキャリアを拓く可能性もあるのでしょうか?

そうですね。時間の効率化以外にも、大きく3つの可能性を感じています。1つ目は女性の活躍の場の拡大です。生成AIによって知識やスキルを習得するスピードが加速すると思います。例えば、社会的背景で理系のスキルの習得ができなかった女性が、生成AIでスキルを身につけることでエンジニアへの道が拓かれる可能性があるかもしれません。

2つ目はジェンダーバイアスが除かれること。無意識だとしても、女性だから、男性だからと言った偏見による評価は少なからず存在しています。それがAIによってニュートラルに評価されるようになる。そうすることでジェンダーを問わずその人の本質を評価して潜在能力を引き出してくれるようになり、様々なチャンスが生まれてくるのではないでしょうか。今までロールモデルがいなかったとしても、AIによるリコメンドが背中を押してくれるかもしれません。前例にとらわれない選択肢が増えることで、女性が活躍する機会が増えるのではないかと思います。

3つ目は単純作業が減少し、アイデアを生み出すようなクリエイティブな領域の仕事が拡大していくこと。自分のアイデアをAIに相談することでどんどん解像度を高めることができます。1つ目と通じるところではありますが、創造性が求められる仕事においても、女性ならではの感性から生まれたアイデアによってチャンスが増えていくと思います。

SECTION 003

生成AIは「人生の大切な道しるべ」。個性に寄り添ってくれるパートナー

ー人とAIの協働が進む未来に向けて、今キャリアに悩んでいる女性にメッセージをお願いします。

これまで働く女性の中には、キャリアを諦めてきた人もいると思います。例えば、出産で職場を離れることを考えるとリーダーには向いていない、といったように。そういった悩みを抱えている女性は、自分で自分の可能性に蓋をせず、どんどんチャレンジしていってほしいですね。これから先の未来では、今想像ができないようなことが立て続けに起きてくると思います。だからこそ、バイアスにとらわれることなく、個性を活かしたキャリアを描いてほしいです。

今までは多くの人たちが国、あるいは組織における全体最適に合わせた働き方をしてきました。しかし生成AI時代では、一人ひとりに最も適した個別最適の働き方が実現されていくと考えています。仕事だけではなく、健康や恋愛なども含めAIが自分の人生を設計するパートナーになってくれるでしょう。

私にとって生成AIは「人生の大切な道しるべ」です。様々な制約から解放され、チャンスが広がっていくことを、私個人としてもワクワクしています。「私にAIなんて」と敬遠せず、自分の幸せを追求するために、生成AIの知識やスキルをぜひ習得してほしいですね。

PROFILE
NORIKO HARADA

一般社団法人生成AI活用普及協会 協議員/AI CROSS株式会社 代表取締役CEO
慶應義塾大学卒業後、SAPへ入社。コンサルタントとして働いた後、ベンチャー企業へ転職し、米国法人設立のために2000年に渡米。シアトル、サンノゼ、NYで10年ほど米国のマーケティング、提携・アライアンス業務などに幅広く携わる。出産を機に帰国し、2015年3月、AI CROSS創立、2019年10月には東証マザーズに上場を果たす。2021年にはCVCを立ち上げ、ベンチャー支援にも積極的に取り組む。

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