生成AIコミュニティの舞台裏。日本をAI先進国に導くための起爆剤とは

INTERVIEW 002
SHOTA KIUCHI
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

INDEX

企業だけでなく、行政も積極的な動きを見せている生成AI。そんな中、日本をAI先進国に導くためには、何が必要なのか。国内最大級のAI活用コミュニティ「SHIFT AI」を運営する株式会社SHIFT AI 代表取締役の木内 翔大氏にお話を伺いました。木内氏は、生成AIの普及に向けた取り組みとして「コミュニティ」という選択肢を選んだ理由について、「実際にAIを活用する人たちが集まり、最先端の情報を速いスピードでシェアできる場が必要だと感じたから」と語ります。今、日本社会に必要なアクションから、初心者の方が生成AI活用の一歩目を踏み出すためのヒントまで、幅広く解説していただきます。

日本をAI先進国へ。海外と比べた現在地と日本社会に必要なアクション

ー生成AIの普及に関して、木内さんは「日本の現在地」をどう見ていますか?

海外と比べて、出遅れている部分と有利な部分があると思っています。出遅れている部分としては、アメリカや中国に比べ、利用率や活用率が少し低いという印象です。また、発展途上国を含め、経済的に豊かでない国々ほどAI導入のインセンティブが高く、積極的に普及されていくことが予測できます。そういう意味では、日本がAI活用を進めることは急務だといえます。

一方で、日本はAIに関する法規制が比較的緩やかで、活用を進めやすい環境であることが有利なポイントです。これに加え、日本人の気質としてクリエイティブなものを作るスキルの水準が高く、生成AIとの相性がよいことも有利な部分にあたると感じます。これからは国全体での活用率をボトムアップとトップダウンの両方から高めていくべきでしょう。

ー日本をAI先進国に導くための起爆剤としては、どんなアクションが必要だと思いますか?

国家レベルで、AI産業全体を盛り上げる取り組みが非常に重要だと考えています。また、企業や個人それぞれの取り組みにより、生成AIの活用を推進するプレイヤーが増えることも大切です。生成AI活用普及協会のように、スキルや教育の標準化を行うことで、社会全体の質の底上げを図ることも必要なアクションの一つだと思っています。

そんな中、弊社は「日本をAI先進国に」という目的達成のためにコミュニティというアプローチを採用し、生成AIの活用に特化した高品質な情報を提供する場を作っています。

生成AIの普及のために「コミュニティ」を作ったワケ

ー「コミュニティ」という選択肢を選んだ理由について教えてください。

生成AIの技術はまだ黎明期であり、日々新しい技術が生まれてくるという状況です。この状態で、常に最先端の情報をキャッチアップし、それを自社のAI活用や個人のキャリアに応用する際に重要となるのは、キャッチアップのスピードだと考えています。速いスピード感を担保するために、実際にAIを活用する人たちが集まり、情報をシェアできる場が必要だと感じたため、コミュニティというアプローチを選択しました。

また、50社のパートナー企業と連携し、AIの専門家から講義を受けられる環境も整えました。個人単位だけでなく、組織単位でのユースケースについても日本の最先端の情報がシェアされる場にしていきたいと考えています。

ーコミュニティに飛び込む、というのは初心者にはハードルが高いようにも感じますが、実際にはいかがでしょうか?

SHIFT AIでは、会員のうち約8割が日常的に生成AIを活用しています。一般的なコミュニティは全体の2割が活用する程度だといわれているので、SHIFT AIは一般的なコミュニティを大きく上回る結果になっています。では玄人だけが集まっているのかというと、そういうわけではなく、初心者で参加している方もいます。主に、私のTwitter(現X)やパートナー企業のSNSを通じてAIに関する情報を得ているような方々ですね。まずはハードルを高く設定せずに情報を集めることから始めてみて、興味や関心を持った方はさらに詳しく学びたいと思ったタイミングで、コミュニティに参加していただくのがよいのかなと思います。

生成AI活用スキルの習得は、複数のスキルを手に入れることにつながる

ー生成AI活用の始め方として、初心者の方にはどのような方法をオススメされていますか?

生成AIは、特別なスキルなしでも利用できるように作られているので、少しでも興味を持ったツールから試してみるとよいと思います。例えば、ChatGPTは登録から数分で使い始めることができますし、活用してみることでAIの可能性を感じることができるはずです。

また、生成AIの活用スキルを磨くことは、文章を書く、企画を作る、デザインを行うといったスキルが手に入ることにもつながります。これは誰もにとって非常にチャンスですし、汎用性の高いスキルになり得ます。こういったことを理解し、プロンプトの技術を磨いていくこともオススメしたいですね。

ー最後に、生成AI活用の一歩目をまだ踏み出せていない方に対して、メッセージをお願いします。

何から始めればよいのかわからない、どのツールを使えばよいのかわからない、そういった不安を感じている方も多くいらっしゃると思います。そういった方々は、まずは生成AIの標準を知り、情報をキャッチアップすることを入り口に、活用を検討していただきたいですね。その先で、自分自身に合った生成AI活用のスタイルが見つかってくるのではないでしょうか。

PROFILE

SHOTA KIUCHI

一般社団法人生成AI活用普及協会 理事/株式会社SHIFT AI 代表取締役
大学時代からWEB・AIエンジニアとして3年ほど活動。2013年に日本初のマンツーマン専門のプログラミングスクール「SAMURAI ENGINEER」を創業。累計4万人にIT教育を行い、2021年に上場企業へ売却。2023年に株式会社SHIFT AIを設立し、「日本をAI先進国に」を掲げ、AIのビジネス活用を学べる国内最大級のコミュニティ「SHIFT AI」を運営。GMO AI&Web3株式会社 AI活用顧問。